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リスキリング助成金 不正受給の返還対応|社名公表回避・審査請求の手順を司法書士が解説

2026.02.07

この記事でわかること

リスキリング助成金(人材開発支援助成金)の不正受給を指摘された場合、返還命令から1か月以内に全額納付しなければ社名が公表されます。

本記事では、以下の内容を司法書士が詳しく解説します。

  • 不正受給と認定された場合のペナルティ(返還額・違約金・社名公表・5年間の助成金停止)
  • 社名公表を回避するための対応手順と期限
  • 審査請求の流れと「不正受給認定」を争う方法
  • 弁護士・社労士との連携が必要な理由

「通知が届いてどう対応すべきかわからない」「社名公表を回避したい」という方は、今すぐご相談ください。

📞 初回相談無料 TEL: 075-741-6531(平日9:00〜18:00) 📧 お問い合わせフォームはこちら

  1. リスキリング助成金 不正受給問題の概要

事件の経緯

時期

出来事

2024年10月

会計検査院が人材開発支援助成金の不正受給を指摘(32事業主、約1億円)

2024年12月

当該訓練機関であるコンサル会社が東京労働局から社名公表(約495万円)

2025年12月

全国30都道府県で178社、総額約19億4,000万円の不正受給が発覚

何が「不正」だったのか

人材開発支援助成金(リスキリング助成金)の支給要件として、「企業が訓練経費の全額を負担していること」が定められています。

問題となった「実質無料」スキームでは、以下の仕組みが使われていました。

  1. 企業が訓練機関に研修費用(例:100万円)を支払う
  2. 国から企業に助成金(例:75万円)が支給される
  3. 訓練機関から企業に「営業協力費」「感想文謝礼」等の名目でキックバック(例:25万円)が支払われる
  4. 結果として企業の実質負担は0円(または利益が出る)

このキックバックにより「全額負担」の要件を満たさなくなり、不正受給と認定されます。

2. 不正受給と認定された場合のペナルティ

金銭的ペナルティ

不正受給が認定された場合、以下の金額を返還する必要があります。

項目

内容

元本

受給した助成金の全額

違約金

返還額の20%相当

延滞金

年3%(受給日の翌日から起算)

【返還総額の試算例】

受給額

違約金(20%)

延滞金(2年分)

返還総額

100万円

20万円

約6万円

約126万円

500万円

100万円

約30万円

約630万円

1,000万円

200万円

約60万円

約1,260万円

社名公表

不正受給額が100万円以上の場合、原則として企業名・代表者名が厚生労働省のウェブサイトで公表されます。

【重要】返還命令から1か月以内に全額納付すれば、公表を回避できる可能性があります。

5年間の助成金停止

不正受給が認定されると、今後5年間、すべての雇用関係助成金が受給できなくなります

対象となる助成金: - 雇用調整助成金 - キャリアアップ助成金 - 両立支援等助成金 - その他すべての雇用関係助成金

刑事告発の可能性

悪質な場合は、詐欺罪(刑法246条)として刑事告発される可能性があります。詐欺罪の法定刑は最大10年の懲役です。

3. 「知らなかった」でも責任を問われる理由

「コンサル会社に騙された」「不正だとは知らなかった」という主張は、法的には認められません。

理由

  • 助成金の申請主体は「企業」であり、コンサル会社ではない
  • 申請書に署名・捺印した時点で、内容の真正性について責任を負う
  • 「代理人に任せていた」「内容を確認していなかった」は抗弁として認められない

労働局の認定内容

労働局は処分通知において、以下のように認定しています。

「当該助成金の申請において、訓練機関又はその協力会社から支払を受けた金銭でもって訓練経費の負担を補填することにより、実質的に訓練経費の全額を負担していないにもかかわらず、不正に助成金を受給したもの」

対処法

「故意」ではなく「過失」であったことを立証できれば、処分が軽減される可能性があります。そのためには、コンサル会社とのやり取りを示す証拠の保全と、早期の専門家への相談が重要です。

4. 社名公表を回避するための対応手順

重要な期限

対応

期限

備考

全額返還(社名公表回避)

返還命令から1か月以内

最優先で対応すべき

審査請求

処分を知った翌日から3か月以内

期限を過ぎると争えなくなる

STEP1:状況の把握

労働局から届いた通知書の内容を正確に把握してください。

確認すべき項目: - 返還請求額(元本・違約金・延滞金の内訳) - 納付期限 - 公表予定日(記載がある場合) - 不支給措置期間(5年間の停止に関する記載)

STEP2:証拠の保全

コンサル会社とのやり取りを示す証拠を今すぐ保全してください。

STEP3:返還資金の確保

社名公表を回避するには、1か月以内の全額納付が必要です。

重要なポイント: - 社名が公表されてからでは、融資を受けられなくなる可能性がある - 届いてから慌てても、1か月では資金調達が間に合わない可能性がある - 通知が届いていない方も、「実質無料」スキームを利用していた場合は、早めに準備を開始すべき

STEP4:専門家への相談

不正受給の問題は、複数の専門分野にまたがる複雑な問題です。早期に専門家へ相談することで、適切な対応が可能になります。

5. 審査請求で「不正受給認定」を争う方法

5年間の不支給措置は覆せるのか?

不正受給と認定された場合の「5年間の助成金不支給措置」を覆すことは、極めて難しいのが現実です。

一度「不正受給」と認定されると、この処分を撤回させることは、ほぼできないとお考えください。

「不正受給認定」そのものを争う

ただし、「不正受給」という認定そのものを争う余地はあります。

審査請求によって、「これは不正受給ではなく、要件不備による不支給である」と認められれば、5年間の不支給措置は適用されません。

認定

5年間の不支給措置

「不正受給」と認定

適用される(覆すのは極めて困難)

「不正受給ではない」と認定変更

適用されない

審査請求の流れ

  1. 任意交渉:労働局に対し「過失」を主張し、処分の見直しを求める
  2. 審査請求:任意交渉で解決しない場合、処分を知った翌日から3か月以内に申し立て
  3. 取消訴訟:審査請求が認められない場合の最終手段

【重要】審査請求の期限(3か月)を過ぎると、将来裁判で争う権利を失うリスクがあります。

6. なぜ1人の専門家では解決できないのか

不正受給の問題は、複数の専門分野にまたがる複雑な問題です。

実際に起きていること

  • 顧問弁護士に相談 → 「不正受給の部分だけ」の回答で終わる
  • 顧問社労士に相談 → 「助成金の話だけ」で、資金調達の話は出てこない
  • 顧問税理士に相談 → 「うちの専門外」と言われる

結局、「何をすればいいかわからない」という状態で放置されてしまうケースが少なくありません。

THE LEGALは「総合窓口」として対応

THE LEGALは、弁護士・社労士と連携した総合窓口として、経営者様の問題を丸ごと受け止めます。

7. THE LEGALのサポート内容

状況整理・書類作成サポート

  • 通知書の内容確認と状況整理
  • 労働局への提出書類の作成補助
  • 証拠書類の整理・保全サポート

返還対応のサポート

  • 返還額(元本・違約金・延滞金)の確認・試算
  • 納付手続きに関するご相談
  • 社名公表回避のための期限管理

専門家連携

  • 審査請求・訴訟対応:最適な弁護士をアサイン
  • 助成金制度の専門知識:最適な社労士をアサイン
  • 全体の進捗管理・期限管理:THE LEGALが担当

セカンドオピニオンとしてもご利用いただけます

すでに顧問弁護士や顧問社労士に相談している方も、お気軽にご連絡ください。

  • 「顧問弁護士の提案が、本当にこれでいいのかわからない」
  • 「社労士に相談したが、助成金の話しか返ってこない」
  • 「全体像を把握した上で、何をすべきか整理したい」

8. よくある質問(FAQ)

Q1. 「知らなかった」「騙された」は通用しますか?

残念ながら、法的には申請者である企業の責任は免れません。ただし、故意ではなく過失であったことを証拠とともに主張することで、処分が軽減される可能性はあります。

Q2. 返還金は分割払いできますか?

原則として一括返還が求められます。ただし、労働局との交渉により分割が認められるケースもあります。社名公表を回避するには「1か月以内の全額納付」が条件となる点にご注意ください。

Q3. 訓練機関(コンサル会社)に損害賠償請求できますか?

法的には可能性があります。ただし、訓練機関側の資力の問題や、立証の難しさがあります。請求するなら早い段階で動くことが重要です。弁護士との連携が必要になります。

Q4. 審査請求とは何ですか?

労働局の処分に不服がある場合に行う行政上の不服申立て手続きです。処分を知った翌日から3か月以内に行う必要があります。

Q5. まだ返還請求が来ていませんが、今のうちにできることはありますか?

証拠の保全を最優先で行ってください。また、不安がある場合は自主申告により処分軽減を図ることも選択肢となります。お早めにご相談ください。

Q6. 他のコンサル会社で「実質無料」スキームを利用した場合も対象ですか?

はい。当該コンサル会社以外でも、同様の「実質無料」「キャッシュバック」を伴う助成金スキームは不正受給に該当する可能性があります。早めにご相談ください。

9. お問い合わせ

ご相談いただける内容

  • 通知書の内容確認と状況整理
  • 返還額・ペナルティの試算
  • 証拠保全のアドバイス
  • 対応方針(自主申告・返還・審査請求)の検討
  • 労働局への提出書類の作成サポート
  • 弁護士・社労士との連携が必要な場合のアサイン

このような方はお早めにご連絡ください

  • 労働局から返還請求の通知が届いた方
  • 社名公表の期限が迫っている方
  • 「実質無料」の研修を契約し、不安を感じている方
  • まだ通知は届いていないが、自主申告を検討している方
  • 顧問弁護士・社労士に相談したが、全体像が見えない方

初回相談無料

司法書士事務所 THE LEGAL

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参考情報・出典

  1. 会計検査院「令和5年度決算検査報告」(2024年10月公表)
  2. 東京労働局「人材開発支援助成金の不正受給に関与した訓練実施者の公表について」(2024年12月3日)
  3. 厚生労働省「人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)のご案内」
  4. 厚生労働省「雇用関係助成金共通要領」
  5. 刑法第246条(詐欺罪)
  6. 雇用保険法に基づく審査請求制度